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八重原シェークスピア・ガーデンの植物の手引き
シェークスピアの劇には、さまざまな植物が引用されて出てきます。それがどのような樹木・草花であるかを知ると、より一層、物語の情景やセリフが興味深く、理解できるでしょう。
○アカスグリ Red Currant
学名:Ribes rubrum
西ヨーロッパ原産の落葉低木。房状の赤い実がなり、ジャムにされる。花言葉:あなたのしかめ面は我が身の破滅。

シーシアス 「事は急を要するから、あなたの赤い唇にこの口づけを残すだけにしておく。」『血縁の二公子』
○アザミ  Thistle
学名:Cirsium
キク科の多年草。「創世記」には、原罪を犯した罰として、イバラとアザミを生えいでさせた、とある。棘のあるやっかいな雑草であるが、ハチはアザミの花を好んで蜜を集める。

ボトム 「ムッシュー蜘蛛の巣、・・・アザミの花のてっぺんにとまっている赤い尻のマルハナバチを殺してくれないか。いいか、ムッシュー。その密の袋を持ってきてくれ。」『夏の夜の夢』
○アネモネ Adonis Flower


学名:Anemone coronaria
キンポウゲ科アネモネ属の多年草。
ギリシャ神話で、愛の女神ヴィーナスは美少年アドーニスを熱愛するが、少年は求愛を拒み、狩りに出てイノシシに殺される、アドーニスが流した血潮から萌え出た花がアネモネであるとされている。

「その時、女神のそばに死んで伏せていた少年は彼女のところから蒸気のように溶けうせ、大地に流れた彼の血潮から白い班の入った深紅色の花が咲き出た、それは彼の白い頬と、その白さの上に玉とこぼれる血さながら。」『ヴィーナスとアドーニス』
○アマ Flax



学名:Linum usitatissimum
アマ科アマ属。茎から採る繊維から作られる布は、リネンとして、古代エジプトのミイラの布としても利用されてきた。

召使い 「行け。おれはリネンと卵の白身をとってくる、あの血まみれの顔の手当てをするのだ、」『リア王』
○アンズ Apricot



学名:Prunus armeniaca
バラ科サクラ属の落葉果樹。中国原産でペルシャ、アルメニアを経てヨーロッパに伝わった。

庭師「あのぶらさがっているアンズの実を縛ってくるんだ。手に負えねえ餓鬼どもみたいに、放蕩の重みで親である枝をたわめて困らせる」『リチャード二世』       
○イチイ Yew
学名:Taxus baccata
ヨーロッパ原産の常緑小高木。寒さに強く、ヨーロッパの代表的庭園樹。
イチイは古くは死を表し、墓地にも多く、暗いイメージをもたれたが、寿命の長い常緑樹なので永遠の生命のシンボルともされてきた。イギリスでは、弓の材料となった。日本のイチイは、杓とされたので、一位の位にちなみ「一位」の字があてられた。イチイの葉や実は有毒。

スクループ 「陛下のために祈るべき役僧たちさえ二重に忌まわしいイチイの弓を陛下に対して引こうとしています。」『リチャード二世』      
○イチゴ、ワイルドストロベリー Strawberry
学名:Fragaria vesca
バラ科オランダイチゴ属、多年草で実は小粒だが美味。
イチゴはイラクサのような雑草の下でも良く育つため、「義の人」「卑しい環境にある高貴な魂」のシンボルとされた。下等な植物から悪い影響を受けないイチゴの清純さをたとえにして、世の悪に染まるな、と説教にも利用された。

イーリー 「イチゴはイラクサの下で良く育ち、良い実は下等な果物と隣り合わせになったとき、最もよく生長し、実ります。」『ヘンリー五世』
○イタリアニンジンボク Chaste tree



学名:Vitex agnus-castus
ダイアナの蕾Dian’s bud といわれている。
ギリシャ神話に、豊饒の女神デメテルが貞操を守るためにこの木の葉を寝室に撒いたとする話がある。古代ローマ、中世では、「貞操の木」といえば、この植物のこと。

オーベロン「今夜の出来事を只一場の苦しい騒がしい夢であったとばかり思うように。先ず、女王から釈いてやろう。(と、草でタイターニアの両瞼を撫でつつ)もとのおまえになれ、もとのように見えるようになれ、ダイアナの蕾こそキューピッドの花にまさる力と恵みある効力あり。」『夏の夜の夢』
○エニシダBroom



学名:Cytisus scoparius
マメ科エニシダ属、恋愛の神キューピッドと縁があるとされる。イギリスではエニシダの枝で箒を作っていた。『夏の夜の夢』で、妖精のパックが新婚のカップルが寝る館を祓い清める箒はエニシダの枝である。エニシダは花をおびただしくつけるため、幸運と豊饒の象徴として結婚式に使われた。

アイリス「彼女に捨てられて恋に破れた若者がその木蔭を好むエニシダの茂み。」『あらし』
○オクスリップ Oxlip



学名:Primula elatior
サクラソウ科プリムラ属の多年草。セイタカ西洋サクラソウともいわれ、長い花茎の先に黄色い花が咲く。

オーベロン「この森の中に野生のタイムの咲き乱れている堤があるが、あそこにはオクスリップも咲いておれば、スミレも風に揺れ、甘美なスイカズラや、美しい香りのマスクローズや、野バラがその上を天蓋のようにおおっている。」『夏の夜の夢』
○オダマキ Columbine



学名:Aquilegia vulgaris
キンポウゲ科の多年草。ヨーロッパに広く分布する。英語の名称Columbineは、ラテン語の鳩columbaからきている。花の形が鳩に似ているため。シェイクスピアの作品では、オダマキは、忘恩、不義、愚かさ、といった否定的意味を持つ花、としても使われている。
日本語名のオダマキは、花の形が紡いだ糸を巻いた球の形「苧環・オダマキ」に由来する。

 オフィーリア「(王に対し)あなたには、フェンネルの花とオダマキ。」『ハムレット』
○オレガノ Marjorum



学名:Origanum vulgare
シソ科の多年草。オレガノはスペイン語。古代ギリシャ、ローマでは、新郎新婦の頭を飾る祝言の花であった。
葉は、茶に入れて香りを楽しんだり、細かく切ってサラダに混ぜ芳香を利用する。

道化師 「まったく、あの方はサラダのなかのオレガノ、いや、むしろ、香りのよい香草(恵み草のヘンルーダ)でした。」『終わりよければすべてよし』
○カシワ Oak



学名:Quercus robur
ブナ科コナラ属の落葉高木。オークは高さ25メートルにもなり樹姿雄大で、「木の王者」とされ、イギリスでは、オークの木が教区の境界の目印として用いられた。シェイクスピアの生家もオーク材の建造物で、建築後500年たっても立派に保存されている。

クインス「公爵様のカシワの処だぜえ、出会うのは。」『夏の夜の夢』
○カーネーション Carnation



学名:Dianthus caryophyllus
ナデシコ科の多年草。古代ギリシャ、ローマの昔から愛されてきた。カーネーションは、キリストの最後を見送ったマリアの落涙のあとに生じた花とされ、この花を母性愛のシンボルとし、「母の日」の花にしたとされる。

パーデタ「夏がまだ果てず、寒い冬が生まれもしないのですから、この季節の一番きれいな花といえばカーネーションと縞ナデシコです。自然の私生児ともよばれるこの花は、わたしたちの田舎の庭には咲いていませんし、ひと茎だってほしいとは思いません。」『冬物語』
○カモミール Camomile



学名:Anthemis nobilis
キク科の多年草。古代エジプト、ギリシャより薬用植物として知られ、発熱などに効果があるとされた。
踏まれると良い香りを発し、いくら踏みつけられても繁殖を続ける強さをもっていて、「踏まれるほどによく育つ」とも言われた。また、リンゴの香りに似た芳香があるので、ギリシャでは「地面のリンゴ」と呼ばれた。

フォールスタッフ「カモミールは踏まれれば踏まれるほど良く育つが、人の青春はな、浪費すればするほど早く枯れ果てる。」『ヘンリー四世 第一部』
○カリンMedlar



学名:Mespilus germanica
バラ科の落葉小高木。ヨーロッパ東南部から中央アジアに分布する。メスピルスMespilusはギリシャ語で「半分の球」という意味で、果実の形からつけられた。果実はすぐには渋くて食べられないが、樹上に初冬までおくか、追熟するとおいしくなる。「腐らなければ熟さない」といわれる。

ロザリンド「ろくに熟さないうちに腐ってしまうお前はまさにカリンの性質。」『お気に召すまま』
○キショウブ Flower-de-luce



学名:Iris pseudacorus
アヤメ科の多年草。5〜6月に黄色の花が咲く。古代エジプト、ギリシャ、ローマ以来装飾や紋に使われ詩歌に詠まれることも多い。12世紀、フランス王ルイ7世が自らの盾の記章に採用し、王家の紋章となった。

少女「用意はできています。これが私の鋭い剣、刃の両側はそれぞれ5輪のキショウブで飾ってあります。」 『ヘンリー六世 第1部』
○キャラウェー Caraway



学名:Carum carvi
セリ科。茎頂に散形花序をつけ、白い花を咲かせ、小さな緑色(成熟すると褐色)の細長い実をつける。Carumはギリシャ語の「頭」からきていて、花序の形につけられたという。種子は香辛料、調味料、薬用(消化、食欲増加)として使われる。シェイクスピアの頃は、リンゴの「つまみ」や、ロースト・アップルに添えて利用された。

シャロー「東屋で、わたしが接ぎ木した去年のピピンリンゴを試食願いたいのです、キャラウェーの種なども添えて。」『ヘンリー四世 第2部』 
○キンセンカMarigold



学名:Calendula offcinalis
カレンデュラは、イギリスではマリーゴールドと呼ばれてきた。シェイクスピア作品に出てくるマリーゴールドは、このキンセンカのこと。太陽の光の方を向いて咲き、しかも花の色は褪せることがないことから、マリーゴールドは、変わらぬ愛、貞節の象徴とされ、昔は結婚式の飾りに用いられた。

パーデタ 「マリーゴールド(キンセンカ)、お日さまとともに床に入り、泣きぬれてお日さまとともに起きる花。」『冬物語』
○キンポウゲ Crow-flower( cuckoo-bud)



学名:Ranunculus acris
キンポウゲ科キンポウべ属。キンポウゲには毒性があり、気を触れさせる「狂花」の俗名がある。

「 まだらなヒナギク、青いスミレ白銀色のタネツケバナに黄金色したキンポウゲが牧場を綾に彩る時 」『恋の骨折損』
○クチベニスイセン Narcissus



学名:Narcissus poeticus
ヒガンバナ科スイセン属。ギリシャ神話の美少年ナルキッソスに由来する。ナルキッソスは、水に映る自分の姿に恋して溺死する、ことから自己陶酔(ナルシシズム)の言葉が生まれた。

エミリア「この庭には楽しみがたくさんあるのね。この花はなんというの?」
侍女 「クチベニスイセンと申します。」
エミリア 「あの方たしかに美少年でしたね。でも自分に惚れこむなんてばかね。娘たちはたっぷりいなかったのかしら?」『血縁の二公子』
○クローバー Clover



学名:Trifolium
Trifoliumは、3枚の葉という意味。クローバーは古くから吉草、霊草とされ、羊の好物でもある。

バーガンディ「なだらかな牧草地には、かつては、まだらのカウスリップ、バーネット、緑のクローバーが美しく咲いていましたが、今や鎌も入れられず、手入れもされずに、荒れ果てています。」 『ヘンリー五世』
○ クラブアップル Crab 



野生リンゴ。酸味が強いので生食には向かない。煮たり、焼いたりして食べる。

パック 「時には焼きリンゴに化けて、おしゃべりばあさんのお椀の中に隠れていて、飲もうとした時に、唇の前で飛び跳ねて、萎びてたるんだ喉元にビールをかけてやるのさ、」『夏の夜の夢』
○クワ Mulberry



学名:Morus nigra
クワ科クワ属。16世紀、イギリスでは、クワを導入して養蚕を試みたが成功せず、庭園を飾る観賞用樹木とされた。シェークスピアの生家にも植えられていて、おいしい木の実として食べられたようである。

タイターニア 「お食事には、杏や木苺や紫色の葡萄や緑色の無花果や桑の実を取ってきてさしあげて。」『真夏の夜の夢』
○ケシ Poppy
学名:Papaver somniferum
ケシの花が咲いた後にできる果実に傷をつけ、そこから出る乳汁はアヘンの原料になる。ケシには鎮痛、睡眠の薬効があることは、古代から知られていた。現在、日本で栽培されているケシは、「ヒナゲシ」で、アヘンを含んでいないので自由に栽培できる。

イアーゴー 「ケシでもマンドラゴーラでも世界中のありとあらゆる睡眠薬を飲んでも昨日までの心地よい眠りはもうおまえにはないぞ。」『オセロー』
○サクラソウ、プリムローズ Primrose



学名:Primula vulgaris
ヨーロッパ原産のサクラソウ属の植物。サクラソウの花言葉は「若さ」「悲しさ」。イギリスでは、冬の終りに「春遠からじ」を告げる野の花で、春の先駆けとして、喜びと期待をもたらし、人々が愛着を覚えた野の花である。

ハーミヤ 「そしてあの森で、よく貴女とわたしとが、淡い色のサクラソウの花床に寝転んで、お互いに心ゆくまで内密話をしあったでしょう、」『夏の夜の夢』
○サクランボ Cherry



学名:Prunus avium
バラ科の落葉高木。イギリスでは、cherryという場合、すべてミザクラを意味する。サクランボは、赤くきれいな唇の象徴でもある。

デミートリアス「ああ、貴女のその唇の・・・・よく熟したサクランボが接吻しているような、・・・・人をそそる其の色!」『夏の夜の夢』   
○ザクロPomegranate
学名:Punica granatum
ザクロ科の落葉小高木。地中海、小アジア原産の果樹。種子が多いため豊穣のシンボルとされている。キリスト教では清らかさの象徴とされた。

ジュリエット 「あなたの脅えていらっしゃる耳に聞こえたのは、ナイチンゲール、ヒバリではありません。毎晩むこうのザクロの木で鳴くの。」『ロミオとジュリエット』
○サフラン Saffron



学名:Crocus sativus
アヤメ科クロッカス属。秋にうす紫色の花が咲く。サフランの色は、ギリシャでは王侯の色、ローマでは婚姻の神の色、キリスト教では慈愛、聖母マリアの色として尊重されてきた。また、サフランの花の雌シベは薬草として使われるほか、スペイン料理ではパエリアの色づけに使われる。
同属のクロッカスは、冬の終わりを告げる花といわれ、春に咲く。

シーリーズ「虹の神アイリス、あなたはサフラン色の翼よりわたしの花に甘露慈雨を降り注ぐ。」『あらし』
○サンザシ Hawthorn



学名:Crataegus laevigata
バラ科の落葉低木花言葉は「希望」、。イギリスには広く自生し、牧場、農場の境界や生け垣などにも利用されている。サンザシは、5月の木、五月祭(メイデー)には、広場に五月柱(メイポール)を立てて、春とともによみがえった樹霊を祝い、豊饒繁栄を願った。その五月柱のてっぺんに立てられ、また、集う、青年男女の頭を飾ったのもサンザシの枝であった、と言われている。

ヘレナ 「デミートリヤスは貴女のお美しいのに憧れています。ああ、羨ましい貴女の美しさ! 貴女の目は北極星のよう、貴女の声の調は、麦が青々と延びて、サンザシが咲き始める頃に羊飼いの聞く雲雀の声よりも可愛らしい。」『夏の夜の夢』
○シナノキLine,European Linden
学名:Tilia vulgaris
シナノキ科の落葉高木。幹は細工がしやすく、盾を作るのに用いられた。葉は美しく、花は香りが良い。シェイクスピアの教会(ホーリー・トリニテイ教会)には美しいシナノキの並木が植えられている。植物学者リンネの姓はこの木の名に因む。

エアリアル 「岩屋の風を防ぐシナノキの森。」『テンペスト』
○シラカバBirch



学名:Betula pendula
カバノキ科の落葉高木。古くから木工細工に利用された。イギリスでは初夏の行事の飾りに使われた。細い枝を束ねて鞭としても利用され、子どもはこれで体罰を受 けておとなしくなるから「おとなしくする木」とも呼ばれ、花ことばは「従順」である。

公爵「つまり、甘い父親が、シラカバの枝を束ねて鞭を作り、子どもに見せつけて怖がらせても、それを用いないのであれば、やがてその鞭は恐れられるどころか軽蔑の的となる。」 『尺には尺を』
○スイカズラ Honeysuckle



学名:Lonicera periclymenum
スイカズラ科の落葉つる性低木。芳香の強いラッパ状の花が枝先につき、5〜7月に開花し、蜜がある。樹木に強く絡みつく性質を持ち、官能的なイメージが強烈な、堅く結ばれた不変の愛のシンボルである。

タイターニア「こんな風にヒルガオと美しいスイカズラとがやさしく絡み合い、このように女蔦は、楡の木の荒々しい枝にまとわりつくのだわ。」『夏の夜の夢』
○スイセン Daffodil



学名:Narcissus pseudonarcissus
ヒガンバナ科の球根植物。Daffodilは、古くからイギリスに自生していたラッパズイセン。シェークスピアの時代に大陸から多くの種類のスイセンが入ってきたが、Narcissus(クチベニスイセン)など、英名が異なっている。
ラパズイセンは、春の到来を告げる花としてつかわれる。

アートリカス「ラッパズイセン咲き始めれば、ホウイ、ホイ、村の娘は谷を越える!楽しい春がやってきて、冬の顔にも赤い血がのぼる。」『冬物語』
○スモモPlum
学名:Prunus domestica
バラ科の落葉性中高木。実は生食され、果実酒、ジャムの原料にもなる。プラムは豊穣を象徴するフルーツでもある。

「熟したプラムは落ちるが、緑の実は枝について離れない、時が来ぬうちに摘んだら、口に酸っぱい。」『ヴィーナスとアドーニス』
○スミレ Violet



学名:Viola odorata
スミレ科スミレ属の多年草。ヨーロッパ、アジアなど広く分布している。早春の花、清純性とはかなさの象徴として使われる。ギリシャ神話ではゼウスに愛された美女イオが雌牛に変身させられた後、スミレを常食にしたと言われている。

レアティーズ「ハムレットさまのことだが、そのお気持ちは、結局一時の浮気心、若さゆえの気まぐれ。いわば春に咲くスミレの花。早く咲くが萎るるも早い。美しくはあるが、すぐに萎む。香も慰みもほんの束の間、ただそれだけだ。」『ハムレット』
○セイヨウナシPear
学名:Pyrus communis
バラ科の落葉高木。セイヨウナシは、ヨーロッパから北アジアに自生する。「ナシの後 にはワインか坊さん」とイギリスでは言われ、ナシを食べてワインを飲まなければ命が危ない、と言われていたという。

ペローレス 「あなたの古びた処女性は、われわれにもたらされたフランスの萎びたセイヨウナシのようなもの。見た目は悪く、食べてみても無味乾燥。以前は味も良かっただろうが、今ではまさしく萎びたセイヨウナシだ。」『終わりよければすべてよし』
○センノウ Crow-flower



学名:Lychnis flos-cuculi
ナデシコ科センノウ属の多年草。
Crow-flowerがどの植物かについては、「センノウ」と「キンポウゲ」とする説がある。センノウ説では、「落胆」を表すといわれている。

王妃 「小川のほとりに柳の木が斜めに立ち、白い葉裏を流れに映しているところに、オフィーリアが来ました。手には、センノウ、イラクサ、デージー、 それに口さがない羊飼いは卑しい名で呼び、清純な乙女たちは死人の指と名付けているシランの花でこしらえた花冠を手に持って。」『ハムレット』
○タイム Thyme



学名:Thymus serpyllum
シソ科の多年草、芳香ハーブ、小さい花が茎頂あるいは葉腋につく。
タイムはギリシャ語で「香る」という意味で、ふれると香気がただよう。甘い香りと花蜜がミツバチを呼ぶ。古代ギリシャでは頭脳を活性化し、回春の薬効もあるとされた。

オーベロン「この森の中に野生のタイムの咲き乱れている堤があるが、あそこにはオクスリップも咲いておれば、スミレも風に揺れ、」『夏の夜の夢』
○ツゲBox-tree
学名:Buxus sempervirens
ツゲ科の常緑小低木。低い生垣、花壇の縁取りなどに利用されている。材質が堅く、櫛や木版用材などに使われるが、昔は、「箱・ボックス」の材料となったため、「Box-tree」と言われた。

マライア「サア、あんたがた3人ともツゲの木の陰に隠れて。マルヴォーリオがこちらへやってくる。」『十二夜』
○デージー Daisy



学名:Bellis perennis
地中海沿岸から北ヨーロッパまで、芝の中に生えている多年草。
英語名の語源がDay's eye(日の目、すなわち太陽)、豊かな生命力をもつ、春の花、清純な愛の花

オフィーリア「(王に対し)あなたには、フェンネルの花とオダマキ。(妃に対し)あなたには、ヘンルーダ、私にも少しとっておかなければ。これは安息日の恵の草ともいうのよ。あなたと私は別の意味で身に着けるの。それからこれがデージー。あなたにはスミレをあげたいと思ったのですが、私の父が死んだ時に、みんなしおれてしまったの。」『ハムレット』
○ナデシコ Pink



学名:Dianthus plumarius
ナデシコ科の多年草。花の色は桃紅色。色彩としての「ピンク」はこの花の色に由来する。

マキューシオ「そうさ、おれは礼節の精華(ピンク)だ。」
ロミオ 「花はナデシコ(ピンク)。」『ロミオとジュリエット』
○パセリ Parsley
学名:Petroselinum crispum
セリ科の2年草。Petroselinumはギリシャ語で「石、岩」、crispumは「しわがある」の意味。地中海沿岸の砂礫の間で育っているちじれた葉の植物パセリを表している。紀元前のギリシャ、ローマ時代から香辛料や毒消しとして利用され、イギリスでは中世期から用いられていた。イギリスでは、パセリには催淫作用があるとされていた。

ビオンデロ「うさぎ料理の詰めものに使うパセリを摘みに菜園へ行って、その日の昼過ぎには結婚してしまった娘っ子を知っています。」『じゃじゃ馬ならし』
○バーネット Burnet



学名:Sanguisorba minor
バラ科の多年草。若葉をサラダにするが、牧草としての価値が大きい。

バーガンディ「なだらかな牧草地には、かつては、まだらのカウスリップ、バーネット、緑のクローバーが美しく咲いていましたが、今や鎌も入れられず、手入れもされずに、荒れ果てています。」『ヘンリー五世』
○ハーベル、ブルーベル Harebell



学名:Scilla non-scripta
日本では、ブルーベル、シラーと呼ばれている。青紫色の紡錘形の小花を花茎の先端につける。シェークスピアの故郷の森や草地にはこの花が自生し、5〜6月に森を美しく飾ったという。キリスト教では、聖母マリアの花とされている。

アービレーガス「一番うつくしい花でお前の悲しい墓を飾ってやるよ。お前の顔のように白いサクラソウやお前の静脈のように青いハーベルの花でな。」『シンベリン』
○バラ Rose



学名:Rosa
バラの花は古代ギリシャ以来、花の女王として賞美されてきた。イングランドの国 花。シェークスピアの作品でもバラは圧倒的に多く言及されており100回ぐらい、と言われている。

ジュリエット「名前って一体なに? バラと呼んでいるあの花を何と呼んでも 美しい香りは同じ。」『ロミオとジュリエット』
○パンジー Pansy



学名:Viola tricolor
スミレ科の1年草。フランスでは、花の形を考える人の姿に見立てて「パンセ・pansee」(思い、思考)とよび、英語名パンジーもこれに由来する。

オフィーリア「これがローズマリー、思い出の花。お願いだから、いつまでも忘れないで。それからこれがパンジー、物思いの花。」『ハムレット』
○ ヒイラギHolly
学名:Ilex aquifolium
モチノキ科の常緑樹で、白い花が咲き、赤い実となる。イギリスではクリスマスツリーにされ「十二月の木」とされている。生命、豊饒とかかわる聖木とされてきた。

アミアンズ「ヘイホー、歌えヘイホー! 緑のヒイラギに、友はおおかた偽りで、恋はおおかた徒し夢。 さ、ヘイホー、ヒイラギに!楽しからずや、現し世も。 『お気に召すまま』
○ヒエンソウ、デルフィニウム Larkspur(Lark’s-heel)



学名:Consolida ambigua
キンポウゲ科の多年草。Consolidaはラテン語で「強固にする」、ambiguaは「不確かな」という意味。英語名は「ヒバリの踵」を意味し、花の形を表している。

 歌 「オクスリップは苗床で大きくなり、キンセンカはお墓で咲き、ヒエンソウはかっこよい。」『血縁の二公子』
○ヒルガオ Woodbine
学名:Convolvulus arvensis
ヒルガオ科のつる性の多年草。巻きつく植物、という意味で、近くにあるものに絡みつく性質をもつ。

タイターニア「こんな風にヒルガオと美しいスイカズラとがやさしく絡み合い、」『夏の夜の夢』
○ビルベリーBilberry
学名:Vaccinium myrtillus
コケモモ属の小低木。ヨーロッパからシベリアにまで分布し、赤紫色の小さな実がなり、美味。ブルーベリーとしても知られている。

ピストル「炉の火を埋めてなかったり、掃除をしてなかったりしたら、娘たちをつねってしまえ、ビルベリーみたいに黒ずむまで。」 『ウインザーの陽気な女房たち』
○ブドウ Grapes
学名:Vitis
ブドウ科ブドウ属。中央アジア原産で、イギリスへは古代ローマ人が伝えた。ブドウは、古来、豊饒と平和の象徴とされ、シェイクスピアの作品でも数多く登場する。

クランマー「姫の御世には、万民がみずから育てたブドウの木の下で楽しく食事をし、隣人相集って楽しく平和の歌を陽気に歌うことでしょう」『ヘンリー八世』
○ブラックベリーBlackberry
学名:Rubus fruticosus
バラ科キイチゴ属の落葉低木。イングランドやウエールズに広く自生する。赤い実がたくさんなり、熟すと黒くなって食べられる。イギリスでは、境界とするためにブラックベリーの種を大量に蒔きつけて国中に広がった。

フォールスタッフ 「無理強いして理由を言わすのか? 理由はブラックベリーの数ほどあっても、無理強いされたんじゃ理由一つだって誰にも言うもんかい、おれが。」 『ヘンリー四世 第1部』
○ヘンルーダ Rue
学名:Ruta graveolens
ミカン科ルーダ属の常緑多年草。ギリシャ語で「にがい」ことを意味する。古くから薬用、香味料として使用されてきたが、匂いがきつく、苦味が強烈。英語名のルーは、「悲しみ」「悔悟」を意味する語と同じで、「悔悟」は神の恵みによってもたらされるということから、「恵みの草」という名称が生まれたと言われる。

オフィーリア「(妃に対し)あなたには、ヘンルーダ、私にも少しとっておかなければ。これは安息日の恵の草ともいうのよ。あなたと私は別の意味で身に着けるの。」 『ハムレット』
○マロウ,ウスベニアオイ Mallow



学名:Malva sylvestris
アオイ科ゼニアオイ属の多年草。南ヨーロッパ原産。マルヴァMalvaは、ギリシャ語のmalache(やわらかくする)という意味からきている。マロウには緩和剤としての効能がある。葉はゆでて食用になる。

ゴンザロ 「もし私がこの島を開拓いたしますれば・・・・」
アントニオ 「イラグサの種でも蒔くかね?」
セバスチアン 「でなくばギシギシかマロウか?」『あらし』
○マルメロMarmelo、Quince



学名:Cydonia oblonga
バラ科マルメロ属の落葉低木。マルメロは、古代ギリシャ、ローマ時代から栽培され、愛の女神ヴィーナスに捧げられて愛の果実とされた。イギリスでは、結婚披露宴でだされるパイの材料になった。
ジュリエットの結婚披露宴のために、ヤシの実(デーツ)とマルメロが御馳走の材料とされている。

乳母「台所の方では、デーツとマルメロが要る、と言っています。」『ロミオとジュリエット』
○ミチヤナギ Knot-grass
学名:Polygonum aviculare
タデ科の1年草。イギリスでは、これを食べると成長が止まる、という俗信があった。

ライサンダー「行っちまえ、小人。このチビめ、ミチヤナギでも食べたんだろう。数珠玉、ドングリめ。」『夏の夜の夢』
○ミント Mint



学名:Mentha
シソ科の多年草。薬用、香料として古代エジプトやローマから利用されてきた。 スペアミント、ペパーミント、アップルミント、ボウルズミントなど、多くの品種が作られている。

パーデタ 「皆さんにお花を、香りの高いラベンダー、ミント、セボリー、オレガノを。」『冬物語』
○モモ Peach



学名:Prunus persica、ペルシャのスモモの意。
バラ科サクラ属。

王子「お前の名前を覚えているかなんて面汚しだ!翌朝、お前の顔を見知っているか!お前が絹の靴下を何足持っていて、そのうちいくつが桃色かなんてことまで!」『ハムレット』
○ヤナギ Willow



学名:Salix
ヤナギ科ヤナギ属。ヤナギは、悲哀を表すが、捕囚のユダヤの女たちがバビロンの川縁のヤナギに竪琴をかけて泣いた故事に基づくと言われる。

王妃「小川のほとりにヤナギの木が斜めに立ち、白い葉裏を流れに映しているところに、オフィーリアが来ました。手には、キンポウゲ、イラクサ、デージー、それに口さがない羊飼いは卑しい名で呼び、清純な乙女たちは死人の指と名付けているシランの花でこしらえた花冠を手に持って。あの子がヤナギの枝にその花冠を掛けようとよじ登ったとたん、無情にも、折れて、花もろともに、小川にまっさかさま。」『ハムレット』
○ユリ  Lily



学名:Lilium candidum
Candidumは「白い」という意味で、白ユリのこと。白ユリは中世以来キリスト教会に用いられ、聖母マリアの花とされて、聖母子や受胎告知の聖画には必ずこの白ユリが描かれるようになった。古くから、ユリは女性の清純な気品を象徴するものとされてきた。

クランマー「姫さまは処女のまま、清純無垢な白ユリのまま、大地に戻られます。世界中の悲しみの声に送られて。」『ヘンリー八世』
○ラベンダー Lavender
学名:Lavandula angustifolia
シソ科の低木。Lavandulaはラテン語の「洗う」の意で、ラベンダーが古代ローマで浴場の香料として使われていたところからきている。
このハーブは、清潔、新鮮のイメージが強い。

パーデタ「皆さんにお花を、香りの高いラベンダー、ミント、セボリー、オレガノを。」『冬物語』
○ラン Long purple



学名:Orchis mascula
ランは、イギリスの森や草地に自生するラン科の植物。
英名:Early Purple Orchid、オルキスOrchidは、根の形が楕円形の塊根状であることから「男のもの」の意であるが、「死人の指」とも呼ばれた。

王妃 「小川のほとりに柳の木が斜めに立ち、白い葉裏を流れに映しているところに、オフィーリアが来ました。手には、キンポウゲ、イラクサ、デージー、それに口さがない羊飼いは卑しい名で呼び、清純な乙女たちは死人の指と名付けているシランの花でこしらえた花冠を手に持って。」『ハムレット』
○ リンゴApple



学名:Malus domestica
バラ科の落葉高木。「イヴのリンゴ」は、エデンの園で蛇がイヴを誘惑して食べさせた、おいしそうで、目を引き付けるが、人類に原罪をもたらした。リンゴは、ラテン語でmalumといい、悪をmalusということから、人類に原罪をもたらした果実であり、見た目は良いが内実は破壊的な悪であるとされてきた。

アントーニオ 「併し悪魔が聖書を提供するのは、悪党が笑顔を作っているようなものだ、見かけの立派なリンゴが心で腐っているようなものだ。」『ヴェニスの商人』
○レモンバーム Balm
学名:Melissa officinalis
シソ科メリッサ属。ギリシャ時代に月の女神ダイアナの神殿に捧げられた。レモンの香りがするのでレモンバームと呼ばれる。香りが良いだけでなく、古くから解毒、鎮痛などの薬効で知られている。

クイックリー 「それから、組合衆のお椅子をば、レモンバームの香油や高価な花の香水で必ず浄めてくれ。」 『ウインザーの陽気な女房たち』
○ローズマリー Rosemary



学名:Rosemarinus officinalis
シソ科の常緑低木で、春から夏にかけて青色の小さな花が咲く。
芳香性があり、昔から薬用、香料、香辛料などとして使われていた。ローズマリーには頭や心の病気を癒す薬効があると言われていた。ローズマリーの名称は「海のしづく」という意味のラテン語の属名からきている。ローズマリーは一年中香りと緑を保つので、「思い出」「記憶」「節操」「変わらぬ愛」を表わす植物として文学に登場する。

オフィーリア 「これがローズマリー、思い出の花。お願いだから、いつまでも忘れないで。それからこれがパンジー、物思いの花。」『ハムレット』
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